愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
「え、いや……奥さんの名字になっているから……たしか土本。土本愛理ちゃんだよ。どうした?」

 同姓同名の可能性もまったくないわけではないが、ここまで境遇や年齢が一致しているなんて偶然にしてはできすぎている。そもそも本当に愛理だったなら、こんな巡り合わせはそれこそ奇跡だ。

 それから俺は彼女と知り合いだと三木さんに告げ、今の愛理の住所を聞き出した。愛理に会えるかもしれないと喜んだのも束の間、彼女が俺から離れた理由をここにきて悟る。

 もしかして愛理は、なにかのきっかけで知ったのか? 俺がKMシステムズを、柏木社長をずっと憎んで復讐したいと思っていたのを。

 さっと血の気が引いて、唇を噛みしめた。まだそうだと決まったわけじゃない。そもそも愛理本人かもわからない。

 それなのに愛理が俺から離れた理由を想像して、それが当たっていたらなにもかも繋がるのが堪らなかった。

 とにかく愛理に会いにいこうと決意し、役員会が終わったらさっさと部屋を出る。案の定、なにも聞かされていなかった崎本が最後までごねていた。

 ただの社長秘書なら、あそこまでいろいろと主張してくるだろうか。もしかすると過去のKMシステムズの不正や不当な契約などは……。

 あれこれ思案しながらエレベーターで一階に降りると、その先にはずっと探していた愛理の姿があった。

 こちらを認識した途端、彼女の手からスマートホンが滑り落ち、大きな目をこれでもかというほど見開いている。
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