愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
「会いたかった」

「朝、お見送りしたよね?」

 苦笑する愛理に耳元で囁く。

「それでも会いたかったんだ。こうして愛理が待っていてくれるなんて奇跡だから」

 一度彼女を失って、それまでの当たり前がそうではないと思い知った。そばにいるのも、好きだと想ってくれるのも。だからいつも言葉や態度にして伝えたい。

「よ、酔ってる?」

 しかしここまで真剣に想っても、愛理には伝わっていないらしい。こうなると少しばかり悔しくなる。わざと彼女の耳たぶに唇を寄せる。

「んっ」

 彼女の口から甘い声が漏れ、さらに悪戯心が湧き起こる。

「酔っているよ。愛理にいつも」

「ちょっ、や」

 吐息混じりに耳元で囁き、耳の外側を舐め上げる。愛理は俺の腕をぎゅっと掴んで耐えようとするので、そのいじらしさに情欲が煽られた。

 強引に頤に手をかけこちらを向かせて唇を重ねる。抵抗されるかと思ったが、愛理は驚いたもののすぐに従順な姿勢を見せた。

「好、き」

 キスの合間に言葉にして伝えようとしてくれる愛理に、想いがあふれそうになる。唇を離し、至近距離で愛理を見つめた。

「俺も好きだよ。愛している」

 愛理がいたから俺は変われた。変わろうと思えたんだ。この絶望の中の再会が奇跡だというのなら、そこから先は自分の力だ。絶対に離さない。

 ごく自然に彼女の左手に自分の左手を重ねると、金属の触れ合う感触がある。永遠を誓い合ったおそろいの結婚指輪に目を細め、愛理とのキスを再開させた。

Fin.
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