愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
 シングルマザーだというのも相まって、弱音も吐けない。責任は全部私にあるから。父親である彼に妊娠も告げず、生むのを決めたのはお前自身だろって言われるのが怖かった。

 腕の中の真紘をぎゅっと抱きしめる。すると紘人が私と真紘を包むように抱き寄せた。

「真紘もだけれど、俺にとっては愛理も大切なんだ。愛理が真紘を一番に思うなら、俺が愛理を一番大事にするから。もっと愛理の気持ちや希望を口にしてほしい」

 今日、レストランで食事をしたときもそうだった。諦めるのが当たり前だと思っていたのに、紘人が叶えてくれた。彼はいつも私の手を引いてくれる。

「ありがとう、紘人」

 涙を堪えるため必死に瞬きをする。不意に彼と視線が交わり、そっと唇が重ねられた。受け入れたもののすぐに真紘を抱っこしている状態だと思い直し、ぱっと離れる。

「あ……」

 下を見ると、さっきからずっと静かだと思っていた真紘が気づけば私にもたれかかり眠っていた。そろそろ体力的にも限界だったのだろう。このままアパートまで送ってもらおうか。

「ひとまず寝かせるならこっちへ」

 お願いする前に、彼に寝室へと促され戸惑う。帰って改めて寝かせる旨を告げようとしたが、チャイルドシートに乗せたり移動中にへたに起こしてしまうのもかわいそうだと思った。

 先ほど言われたのもあり、ここは彼の厚意に素直に甘える。

 紘人のベッドに真紘を寝かせ、軽めのブランケットを借りてかけた。起きる気配はまったくなく、規則正しい寝息を立てている。
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