愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
「こうして見ると、真紘は本当に小さいな」

 小声で漏らす紘人に笑って同意する。

「ベッドが大きいから余計にそう感じるね」

 アパートで布団に寝かせたときや遠くから客観的に真紘を見たときに、つくづく感じる。生まれたときから成長して大きくなったとはいえ、まだまだ小さい守られるべき存在だ。

「私、真紘についているね」

 うちのアパートとは違い、リビングとは離れている。彼が目を覚ましたときのことを考えたら、付き添っておくべきだ。

「ああ」

 紘人は照明の説明などをして、寝室をあとにした。真紘とふたりになり、ホッと息を吐く。さすがに私まで横になるわけにはいかず、ベッドのすぐ横に腰を落とし、真紘に手を伸ばす。

 柔らかな髪に触れ、自然と笑顔になる。疲れたよね。でも真紘、楽しそうだったな。

 紘人に抱っこや肩車をされていた真紘を思い出す。カーテンを閉じて照明が落とされているからか、なんとなく私まで眠たくなってきた。

 思わずベッドサイドに突っ伏す形で頭を預ける。いつも寝ている環境とはまったく異なるのに、なんだか落ち着く。

 紘人の匂いがする。

 付き合っていた頃の記憶がよみがえり、なんとなく切ない気持ちになった。

 ふと目を開けて、頭をがばりと上げる。一瞬、気を失っていたような気がするが、目の前の真紘は変わらず眠っていて安堵した。

 ところが隣に気配を感じて視線を遣ると、紘人がベッドサイドに腰を下ろしこちらを見ていたので心臓が口から飛び出しそうになる。
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