愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
 驚きのあまり叫びそうになったが、紘人が口元に人差し指を立て、私も慌てて口を押さえる。

 さっき紘人が部屋を出ていくのを見送った。それなのに今、彼がここにいるということは……。

「ご、ごめん。私、そんなに寝てた?」

「いや」

 小声で尋ねたが、歯切れ悪く返される。紘人は立ち上がり、小さく手招きした。とはいえ、まだぐっすり眠っているものの真紘をひとりにしてもいいものか。

「大丈夫、モニターを置いておくから」

 私の葛藤を読んだかのように紘人が呟く。いつ用意したのか、紘人は赤ちゃんやペットの様子を見守れる遠隔タイプのカメラを真紘のそばに設置した。

 そのまま促され、後ろ髪を引かれつつも彼についていきリビングに戻る。紘人はすぐにモニターの電源をつけて設定した。ややあって寝室の様子が映る。

「ほら。これなら真紘が起きてもすぐにわかるだろ?」

 意外と画面は鮮明で音もよく拾う。

「ありがとう。でもいつの間に?」 

 こんな準備をしていてくれたんだろう。紘人はゆっくりとソファに座る。

「チャイルドシートを注文するときに。いろいろ調べていて、必要かと思ったんだ」

「そうだったんだ」

 本当に紘人はまめだと思った。彼なりに真紘との生活をシミュレーションしてくれていたんだ。

「気が早すぎたか?」

「ううん。ありがとう」

 そこで遠慮気味に紘人の隣に腰を下ろした。そして先ほどの件を尋ねる。
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