愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
 彼を不安にさせたくない。あんな別れ方をして、彼のそばにいるのも想い続ける資格もないと思っていたけれど、許されるのなら自分の気持ちを伝えたい。

「紘人が……好き、だから……紘人に触られるの、気持ちいい、よ」

 今も、昔もだ。

 発言してから、あまりにも言い方がそのままだったかとわずかに後悔する。こういうシチュエーションで、もっと気の利いた言い回しができないのはどうしたものか。

 自己嫌悪に見舞われていると、いきなり彼に抱きしめられた。膝立ちしていたのが崩れ、彼の膝に乗り上げ密着具合が増す。

「愛理を愛している」

 ポツリと呟き、彼は私の顔を覗き込むようにして目をしっかり見つめてくる。

「俺も愛理が好きだよ。誰にも渡さない」

 ゆるゆると彼の手が再び私の肌に添わされる。

「あっ」

 器用に背中のホックが外され、胸回りに解放感を覚えたのも束の間、性急な触れ方に呼吸が止まりそうになる。

 反射的に目をつむると、彼の唇が耳元に寄せられた。

「だからおとなしく俺に預けて。愛理が俺以外のことを考えられなくなるくらいに、もっと気持ちよくしたい」

 低い声で囁かれ、耳たぶを甘噛みされる。続けてねっとりと耳の輪郭に舌を這わされ、肩を縮めた。

「やぁ」

 短い悲鳴にも似た声が漏れるが、紘人はかまわずに唇を顔の輪郭に沿って滑らせ、首筋に音を立てて口づける。

「紘、人……」

 助けを求めるように彼の服を掴んで名前を呼ぶ。与えられる刺激が熱になって体にこもり、発散の仕方がわからなくてもどかしい。
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