献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
「マジで? いい感じだったじゃん」
「向こうは俺のこと好きだって言ってたけど、そもそも付き合ってたつもりないから。連絡うざいし切った。まあ最後にヤッたけど」
「うわー! 出たよ!」
「いいじゃん、思い出思い出」
ボリュームの大きいその会話に、西野さんたちも「サイテー」と眉を寄せる。
私は男性たちの本音を聞き、清澄くんだけは違うという確信が持てなくなった。
私とエッチしたのは、童貞を捨てるためだけだったりしない……?
童貞でなくなった彼にはもうコンプレックスはないわけだから、これから自由な恋愛ができる。
私なんかにこだわらなくても、もっと素敵な人を見つけてしまうかも。
海外に異動するとして、それでも私と繋がったままでいてくれるとは思えない。
この男性と一緒で、縁がなくなれば簡単に切ってしまえばいいと考えていたら?
「日野さん、今度は勘違いしないようにしないと」
「そうですよ。私たち新しい恋を応援してますから」
胸に突き刺さる言葉に耐えられず、おかずの残ったお弁当に蓋をした。
笑って返さなきゃいけないのに、その余裕がない。
消えそうな声で「お先に失礼します」と告げ、もつれる足で立ち去った。