献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
よつば商事は、窓口には滅多に来ない。
用事があれば社長の個人的な支払でも俺に頼むことがほとんどだった。
それに、今総務部って言ったよな……?
よつば商事に〝総務部〟は存在しない。
笹川さんは払込済みの印の押された払込用紙を探してきて、「これです」と俺に差し出した。
すぐに受け取り、依頼人欄の名前を見る。
「西野里依紗(りいさ)さんという方ですね。こう、若くて髪の毛巻いてて、少し派手な……」
「あのさ! それ、『よつば商事』じゃなくて、『ヨツバ』の受付の西野さんじゃないか?」
予感は的中した。
俺は自分を抑えようとしたが、声のトーンは低く、激しくなっていく。
笹川さんは聞いた瞬間はポカンとした表情を浮かべたが、徐々に顔から血の気が引いていった。
「……え……」
「笹川さん、ヨツバとよつば商事は別の会社じゃないか! ヤバいぞ、これ……」
「どうした穂高。大きな声を出して」
いつもの俺では考えられないほどに取り乱していたからか、後ろの席に座っていた事務の次長が割って入ってきた。