献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
私ったら、なにを考えてるんだろう。
べつに私とエッチするわけじゃないんだから、想像したって意味ないし、だいたい穂高さんに対して失礼だ。
でもさっき見た『ピュア♡ラブ』のエッチシーンが頭の中にしっかりと残っており、それを勝手に穂高さんで再生してしまう。
ダメダメ、ダメだよ。
落ち着こうとすればするほど興奮が増して息が速くなってしまい、「ごめん酔ってるね私」とごまかしてみる。
「……俺も酔ってる」
そう言って答えた穂高さんも、心なしか私と同じ様子に見えた。
私たち、大丈夫だろうか。
どうなっちゃってるの。
まるで、佳恋と颯斗がエッチすることになるときの雰囲気にそっくりだ。
お互いの二の腕が、かすかに当たる。
足先も触れた。
どっちから触れあおうとしたわけでもないのに、離れていかない。
離れなきゃ。
もう頭の中で警報が鳴ってる。
「あれ? 愛莉。愛莉だろお前」
しかし、のれんを掻き分けて入ってきたその声に、思考が停止した。
それは突然のことだった。
聞こえてきたのは雑な発音で呼び捨てられた私の名前、二度と聞きたくなかったはずの声。