献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

「ふたりでどこか行こうか」








数日後。
【次、いつ会える?】というメッセージをもらい、【明日の仕事の後空いてるよ】と返事をした。

約束の日、また同じホテルに到着すると、ベッドに座ってしばらく近況を話し、シャワーを浴びる。
二度目だからといってドキドキしないはずはない。
しかしこれが甘い気分だけかといえば今は違って、彼がどういうつもりで私と会っているのか本音がわからず不安も混じっていた。

「ちょっと試したいものを買ってきたんだ」

バスローブの彼はベッドの途中にあるソファに置いた鞄に立ち寄り、中を探り始めた。
その姿は、問答無用でSMグッズを使い始めるときの元彼と重なり、私はお腹の奥がズキリと痛む。

「な、なにを使うの……?」

不安になり、足を畳んで引っ込める。
すると彼はクリームボトルのような円柱状のガラス瓶を持って戻ってきた。
ボトルは白地にピンクと黄色の花柄で、蓋はシルバーのかわいらしく上品なもの。

「マッサージクリーム」

そう言われると、花柄の中にブランドロゴが入っているのに気付きハッとした。
里見さんがよく、欲しいけど高くて買えないと嘆いていた化粧品ブランドだ。
< 64 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop