王子様は拗らせお姫様の虜
エメラルドグリーンのリボンが、綺麗にかけられた白い小箱の中を開ければ、ティファリーの新作のピアスが、輝いていた。

「すっごく……綺麗……」

掌に乗せた、赤い光を放つピアスは、すぐに、私の涙で滲んで見えなくなっていく。

「もう、泣かないでよ。一月の誕生石、ガーネットなんだ」

千歳が、指で(つま)むと、私の両耳に器用につけてくれる。

「うん、実花子にすっごく似合ってる」

千歳が、満足げに唇の端を引き上げた。

ベッドサイドに置いてある鏡で見れば、耳元には、赤い薔薇のようなガーネットのピアスが、煌めいている。

「千歳……ありがとう。一生大事にする」

私が、千歳の背中に手を回せば、千歳は、すぐに、ピアスの上からキスを落とした。

「毎日、つけてね。実花子が、僕のものだって、シルシだから。あと……」

千歳が、少し迷ったような顔をしてから、言葉をつづけた。

「ガーネットの宝石言葉、『変わらない愛情』だから……ずっと実花子が好きだから……」

さすがの千歳も、照れながらいう台詞だったのかと思うと、私は、口元が緩んでしまう。
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