モブって恋していいんですか?

出会い

「つばめちゃん、今日ね、渚くんが迎えに来てくれるらしくって、一緒に帰れないの」

瑠璃は、私を思ってか悲しそうに言う。
渚に瑠璃を取られるのは癪に触るが、瑠璃がこんな悲しそうに言うのだ、仕方ない。渚に譲ってやろう。

「大丈夫だよ瑠璃。明日、一緒帰ろう」
「うん!」

そう言ってあげると、ほっとしたように笑った。
…‥.なんなんだ!あの可愛い生き物は!可愛い過ぎるだろ。この世のものか?本当に

「じゃあ、つばめちゃん。また、明日」
「うん!バイバイ瑠璃」

私は瑠璃と別れて、一人で帰り道を歩いた。

瑠璃との出会いは、入試だった。道に迷っていた瑠璃と一緒に会場まで行ったのだ。
今思えば、一目惚れだろう。あの日、この子と一緒に居たい。と思ったのだ。

恋情があったのかもしれないが、私はそんなやましい気持ちでは無かった。ただ、ずっと一緒に居たい。隣で、笑い合っていたい。そう思ったのだ。

……明日は、瑠璃と何をしよう。

いつも、そんなことばかり考えていた。瑠璃が居てくれれば、恋も愛もいらない。瑠璃の笑った顔で、何もかも要らなくなるのだ。

「ふふふ〜ん♪」

瑠璃のことを考えてたら、自然と鼻歌を歌っていた。

「るるる〜る♪」

「うるせぇ」

誰だよ、私が気持ちよく瑠璃のことを考えているのを邪魔するのは

「は?なんだよ」
「だから、うるせぇ」
「私の美声を聞いて、うるさいとはなんだ!」
「いや、自分で言うなよ」
「事実だけど、音楽ずっと5なんだけど」
「知らねぇよ!」

失礼な奴だな。私の美声を

「ちっ……」
「舌打ちするなよ」

ますます、嫌な奴!舌打ちした!女の子に向かって?信じられない!

「あんた、誰だよ」
「いや、まずは名乗ってから聞くものだろ。」
「は?」
「はい、すいません。菊野燕と申します。名字は嫌いなんで、名前でどうぞ」

くっ、折れてしまった。「は?」は怖いから、女の子に向かってあれは、無いよ

「へぇ」

聞いといて、真顔ですか。こいつ。益々嫌い

「ねぇ、あんた」
「あんたって、名前じゃないんだけど、今名乗ったよね⁈」
「……なんか言った?」
「いいえ、なんでもございません」

圧、圧よ。圧

「あんた、面白いな」
「え、きも。いきなり何。怖」
「潰そうか?」
「すいません、勢い余って」

何こいつ、怖……!

「くくっ。本当に面白いなあんた。」

はじめて、笑ったこの男は、顔立ちが整っていた。

「褒められてんの?」
「褒めてる褒めてる」

笑われてるだろ。これ

「へぇ、ありがと。じゃあ、バイバイ」
「いや、待てよ」
「えっ、なんで?」

引き止めんなよ。今から、瑠璃と明日の帰りにどこか寄るためのお店探す予定なんだよ。

「ほら、なんかないの?名前聞くとか」
「ねぇよ、もう関わらないんだから」
「えっ?なんで、俺お前のこと気に入ったから、つるもうと思ったんだけど」
「やだ、きも。無理、ごめんなさい」
「ストレートに、傷つく」

瑠璃との時間が無くなる。

「じゃあ、バイバイ」

走って、逃げた
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