サンタクロースに執着されました
「……こんなもの、もらえません」

箱をそのまま課長へと突き返す。
しかしそれはこちらへと押し返された。

「彼氏がいるから、ですか」

「それは……」

はい、と断言できない、今の自分が憎い。
それにわかっているなら、こんなもの渡さないでほしかった。

「他の女と浮気するような男が、彼氏ですか」

課長の言葉につい、反応してしまう。
こわごわ見上げると、目のあった課長は知っていると頷いた。

「昨日、あそこに僕もいたんです。
柊木さんが女性連れの男性と言い争っていたのも知っています」

……あれを、夏目課長に見られた。

羞恥でカッと頬に熱が走る。

「だから今日、他に出てきてくれる人が見つかったのでと桜川さんを断り、柊木さんを呼びました。
どうしても柊木さんを彼氏さんと会わせたくなかったんです」

嘘をついて私に休日出勤させ、彼氏に会わせたくなかったなんて、課長はいったいなにを言っているのだろう。

「僕はね、柊木さん」

押し問答になっていた箱の中からネックレスを課長が取り出す。
近づいてきた彼を黙って見ていた。
彼の両手が私の背後に回り、離れたときには胸もとに小さなダイヤが落ちてきた。

「人の頼みを断れない、優しい柊木さんが好きなんです」

視線を絡ませられ、目は少しも逸らせない。
レンズ越しに妖艶に光る瞳を魅入られたかのように見ていた。
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