私は人魚姫
たくさんの人が幸せになるなかで、なんで私達だけが?

渚と、私だけが...



「なんで!?」



私はそう、神に問いかける。

でも、返事が戻ってくることなどなかった。

当たり前、か...

それでも今、神様からの返事が戻ってきたのなら、幻聴でも、信じられたのかもしれない。

もしかしたら、私と渚が一緒にいられるのかも...と。

ただの思い込みでも、ほんの少しだけ、楽になれたのかもしれない。

無理だったけどね。

返事なんて、戻ってこなかったけどね。

でも、こんなところでくよくよしてても仕方ない。

渚が心配しているだろう。

涙を必死で止めて、私はあの花畑まで、走り出した。
< 16 / 24 >

この作品をシェア

pagetop