私は人魚姫
花畑に着くと、すぐに渚を見つけた。

哀しそうな顔で、撫子の花を見ていたんだ。

そうだ、私は人魚の姫。

渚1人を幸せに出来ないなんて、姫として失格だ。

でも、渚の気持ちには応えられない。

どんなに好きでも、絶対に。

だから私は、考えた。

どうすれば渚が幸せになれるかのかを。

私と結ばれることだけは除いて。

何日も何日もお城に籠って。

渚が食事を持ってきてくれたけど、喉を通らなかった。

毎日毎日、食べ物に申し訳ないという気持ちになったけど、食べようとしても全然ダメだった。

渚が心配して、何回も何回も「大丈夫か?」とか、「どうかしたのか?」とか声をかけてくれた。

だけど私は、頷くことしか出来なかった。
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