私は人魚姫
どう言い出せばいいのか分からなかったけど、なんとか勇気を振ふりしぼって、「渚」と言った。

渚はすぐに気付いてくれた。



「魚々、どうしたんだ?

なんでここが分かったんだ?」



驚くのも無理はない。

渚は行く場所を誰にも言っていなかったんだから。



「渚が、どこにもいないから心配して...

そしたらあの花畑が思い浮かんで。」

「そっか。」



渚の笑顔。

でも、なんだかその笑顔は寂しそうに見えた。



「魚々...」

「なに?」

「告白、考えてくれた?」

「...うん。」



ついに来ちゃった。

「ごめんなさい。」って、言わなきゃいけないのに。

口が、縫い付けられたように動かない。
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