私は人魚姫
きっと、全身が拒否してるんだ。

断ることを。

「好き。」と言え!!って、思ってるんだ。

でもそしたら渚は...

うん。

私は言わなくちゃダメだ。



「渚、ごめんなさい。」

「ああ。」



渚からの短い返事。

でもその声は微かに震えていた。



「俺だけか。」

「え?」

「初めて会った時、俺の命を救ってくれたやつだと思ったのは、俺だけだよな。」



渚、気付いてたんだ。

私があのときの人魚だって気付いてたんだ。

本当はそうだけど、言ってはいけない。



「うん。

ごめん。

気のせいだと思う。」

「そうだよな。

うん。

返事、くれてありがとう。

フラれちまったけど、しっかり返事くれて嬉しかった。」
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