あと1㎝。(仮)

本編

「河野葉月」

この四文字は、今まで何度頭に浮かんできたのだろう。
数学の公式よりも、歴史で習った人物名よりも、英単語よりも、頭に浮かんでくるそれは、好きな人の名前なのに、鬱陶しくなるときさえある。

これも全てあの時のせい。
友達の井上真央(いのうえまお)が、あんなことさえ言わなければ、これほど苦しめられることはなかった。

意識してしまえば、下の名前同士で呼び合っていたことや、校舎が開く時間前にしょっちゅう喋っていたということが途端、緊張するようになってしまった。それほど恋というものは厄介だ。とても厄介なのだ。

葉月は別にとりわけイケメンというわけでもなかった。
昆虫博士と言われるほど昆虫が好きで、インコも大好き。家に5羽ほど飼っているようで、いつも話してくれる。スポーツは競技にもよるけれど、人並み以上。そんな彼だけれど、女子からかなりの人気があった。確か、下の名前で呼ぶようになってからだったかな。葉月が数人の女の子に”下の名前で呼んで”と、言ったところ人気が上がったらしい。ちなみに私もその一人。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

イチズ

総文字数/0

恋愛(純愛)0ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
学校の人気者入江春樹-Irie Haruki-のことが好きな古里美里-Furusato Miri- そしてそんな美里が好きな幼馴染高木優雅-Takaki Yuga- 春樹のために頑張っている美里の姿を間近で見ている優雅は気持ちをなかなか伝えられずにいる。 しかし、あと一歩というところで美里の思いは届かず、失恋してしまう。 そんな美里の弱みに付け込もうとする男子から優雅は美里を徹底的に守り続ける。 「美里の笑顔と幸せを守る騎士は俺だけで十分だ」 キザで似合わないセリフを言う優雅に少し恥ずかしさを感じるものの、胸が高鳴る美里 少しずつ、距離を縮めていく二人に新たな壁が立ちふさがる。 優雅は思いを伝えられるのか、美里と先輩の関係をきちんと終わらせることができるのか ー私、あんたが幼馴染でよかった。ー ー俺も、お前が初恋でよかったよ。ー
ただ一途に好きなだけ。

総文字数/4,484

恋愛(純愛)7ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
昔、聞いたことがある。 『誰かの幸せは誰かの不幸によってできている』    自分の好きになった人に振り向いてもらえなくても、振り向いてもらえるように頑張った。 垢抜けるためにたくさん研究して、ダイエットもしたし、自分でも自身が持てるくらい可愛くなれた。 全部、君のためだったんだ。 だけど、君が好きになった人は私じゃなくて清楚な女の子。 気が付いたら私は、その子の引き立て役として悪女となっていました。 わたしは、ただ、あなたが好きなだけだったんです。 不器用な女の子 清水千聖-Simizu Chisato-  クラスの人気者 斎藤 翔 -Saito Kakeru- 清楚系女子   早瀬 葵 -Hayase Aoi-          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 初めまして、白兎ゆにです。 恋愛ってどうしてそんなに難しいんでしょうね。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop