【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。

「今日、私を攫った仲間の中に狂猫の姫を口説いた人物がいて、その男は香坂に脅されていたみたい。香坂が言うには罪を犯したロリコン野郎だって」

「……それで?」

「だけど、その男は20代前半……21∼22歳に見えた。狂猫の姫が香坂と同じ、もしくは年上だったとしたらそんな言い方するかな?香坂よりも年下ってことは考えられない?下手したら中学生とか……」

「中学生が暴走族の姫?親が金を持っていたとしても大金をそんな簡単に動かせるか?」

「それは私もわからない……。それに男が若く見えただけかもしれないし、香坂の言葉にも大した意味はないのかもしれない。でも、一応伝えておこうと思って」

私が唯一、掴めた手がかりだから。

「つーか、その男を捕まえればなんか吐くかもしんねぇな。瑠佳の見解は俺からライトに伝えておく。姫捜しは難航してるから情報は何でも助かるよ。ありがとな」

「うん」

「話が終わったんなら、さっさと風呂入れよ。目の毒だから」

「目の毒って……」

怜央からしたら見たくもないものを見せられたのかもしれないけれど、何もそんな言い方しなくてもいいじゃない。


リビングから追い出された私は、お風呂場に戻ってシャワーを浴びた。



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