【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「……わかった。でも、風呂は先に入ってこいよ。俺は他にやることがあるから。洗濯機の使い方だけ教えとく」
「そういうことなら先に使わせてもらうね。ありがとう」
洗濯機の使い方を教えてもらい、脱いだブラウスを中へと入れる。
その途中で私は大事な話をしていないことに気がついて、急いでリビングへと戻った。
「ねぇ怜央!」
「あ?……って、お前なんつー格好で出てきてんだよ」
怜央の言葉で自分がブラウスを脱いだ後だということを思い出す。
「キャ、キャミソールは着てるから。って、今はそんなのどうでもよくて!」
「……よくねーよ」
「ん?なんか言った?」
「なんも。で、なんだよ?」
「今、思い出したんだけど、実は香坂と話してた時に気になったことがあって……」
「気になったこと?」
「うん。ライトくんって姫の正体はまだ掴めてないんだよね。どうやって姫を捜してるか知ってる?」
「香坂の周辺にいる人間や昔つるんでた奴らの中で金を動かせそうな奴を調べてるらしーけど」
「あのね、これは私の予想でしかないんだけど、その近くに姫はいないのかもしれない」
「どういうことだよ?」
香坂が一度だけ仮面を剥がした時がある。
もし、あの時の言葉が本音だとしたら……。