微妙にHではない恋愛@異文化交流物語・魔法の恋の行方シリーズ7・アラゴンとアクア
フェアリーの男は、美しい緑の眉をひそめた。
「獣人国・・・ですかね」

「彼らは、見返りに何を望むのか・・・そこが大きな問題でしょう」
「金、宝石・・・」

アクアは、ふっとため息をついた。
「政略結婚・・・かもしれません」
美しく優雅なフェアリーを、求める獣人も多い。

子猫は、アクアの体が強張るのを感じていた。
「そうお考えですか・・・」
フェアリーの男は、額に手をあてて、つらそうに答えた。

「まだ、獣人国との交渉は、
水面下で始まったばかりです。
それに、アクアマリン様、
ここでの滞在も、今週で終わりですよね。
お戻りになってから、詳細は詰めたいと思いますが、よろしいでしょうか」

「そうですね。それでお願いします」
アクアは子猫を抱っこして、立ち上がった。

「アクアマリン様、
ここでは、くれぐれも無理をなされぬように」
そう言って、
男のフェアリーは一礼すると、
マントのフードで、顔をすっぽり隠すようにすると、足早に出て行った。

その姿を見送って、
アクアは、子猫に語りかけた。
「ねぇ、ピンクちゃん、
どうすればいいのかしら、どうなっちゃうのかな」

アクアは、自分の頬に子猫の小さな手をあてた。

その頬はとても冷たい。
「ねぇ、ピンクちゃん、
ずっと、私と一緒にいてくれるかしら?」
子猫は抱きしめられたまま、じっと動かずにいた。
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