朝なけに

「真湖、知り合い?」


同じように、スーツ姿の男性が真湖さんの背後に立っている。
けっこうイケメンな男性だからか、真湖さんとどういう関係なのかな?と思ってしまった。
ただ、雰囲気的に、二人は今は仕事中のようだけど。


「昌也(まさや)、少しだけこの子と話していい?
5分したら、行くから」


「分かった」


その昌也と呼ばれた男性は、そのまま人だかりの方へと歩いて行き、その人だかりを避けて規制線の中へと入って行った。
ドラマとかでしか見た事ないけど、刑事さんだ。


て事は、真湖さんも…。


「あの店強盗があって、犯人は包丁持ったまま逃げたみたい。
だから、今日はこの辺りウロウロしない方がいいよ?」


「はい」


やはり、真湖さんは刑事さんなのだろう。
カッコいい!


「真湖さん、刑事さんなんですね?」


「そう。中から聞いてなかった?って、わざわざ私の話なんかしないか」


アハハ、と笑っていて。
この前の夜に会った時の真湖さんの印象とは全然違う。


「真湖さんあのその…」

謝った方がいいのだろうか?
こないだ私、けっこうこの人に失礼な事を言ってしまったからな。
そりゃあ中さんの事をつらまないとか酷く言われて腹立ったけど。
この人の好きな一夜さんの事を、悪く言ってしまって。


「この前ごめんね。酷い事ばっか言って。
私、すっごい酔ってて。
と言っても、そんなに飲んでないんだけど。
私、すっごいお酒弱くて」


私がどう謝ろうか悩んでいたら、真湖さんの方からさらっと謝られてしまった。

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