2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません
「あ、あのっ斗真さんっ!違うんですっ」

声をあげて斗真さんの腕を掴むと、彼は私を抱き寄せながらまだ幸斗さんを見下ろして睨みつけている。

「なんだよ、兄貴。そんなに瑞穂ちゃんのことが好き?」

「当然だ。俺は瑞穂を愛してる。瑞穂を傷つけるやつは兄弟であっても許さない」

愛してる……?

耳を疑った瞬間、幸斗さんが「あははっ」と声をあげて笑った。

「何がおかしいんだ」

斗真さんはムッとした様子でさらに低い声を出す。

幸斗さんはくすくすと肩を揺らし、頬を押さえて立ち上がった。

「兄貴がどんな反応をするか試しただけだよ。瑞穂ちゃんにはほんの一瞬協力してもらっただけ」

「試す?」

「瑞穂ちゃんが兄貴の気持ちがわからなくて不安になってたみたいだからさ。兄貴がどれだけ瑞穂ちゃんのことを好きなのか教えてあげたくて一芝居うったの。ね、瑞穂ちゃん」

目で合図をする幸斗さんに、必死に何度もうなづく。

そんな私を見た斗真さんが安堵したように肩の力を抜く。

「なんだよ、びっくりさせるな」

斗真さんの声はいつもの穏やかなトーンに戻ったけど、幸斗さんが殴られた時、すごい音がした。

そうとう痛かったんじゃ……

「幸斗さん、ごめんなさい。濡れタオルを持ってくるのでとりあえず冷やしましょう。あと、フロントに電話してシップを……」

「ああ、いいのいいの。あとでハンカチ濡らして冷やしとくから大丈夫」

あたふたする私をよそに、幸斗さんはけろっとしている。

「悪かったな、幸斗」

罰が悪そうに斗真さんが言うと、幸斗さんはニッと笑った。

「これで借りは返したぞ」

幸斗さんは意味深なことを言って、ドアの向こうへと去っていった。

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