心に♪留まる

【選択肢···間違ってる?間違ってない?】


流の頭の傷には、
長めのガーゼとネットが
被らせてある。

流は、自分の好きな場所
落ち着く空間にいても
気持ちが落ちているのを
どう対処して良いのか
わからなかった。

その時に
「流様。川中でございます。」
と、言われて
ドアを開くと
川中さんがいて
「流様。私と少しだけ
    でかけませんか?」
と、言われて

なぜか、思わず頷いていた。

川中さんの顔が優しかったからか
この状態から逃げ出したかったからか
分からないが·····

川中さんをみると普通?のスタイル
だったから
流も軽装にした。

川中は、流を車に乗せてから
ゆっくりと進む。

元より川中の運転は、
上手で安心していられる。

「あっ、流様。
少しお待ち下さい。」
と、言って車を路肩に止めて
車を降りてロックをかける。

少しして戻ってきた
川中の手には
チョコバナナクレープとコーヒーが
二人分。

川中からそれを受け取り
流は、口をつける。
「美味しい。」
と、言う流に
川中は、笑っている。

耳にしたことはあるが
食べた事はなかった
クレープ
こんなに美味しいなんて

本当なら外で食べさせてあげたいが
それは、無理。

でも車の中でも
流が嬉しそうな様子で良かった。

「川中さん。ごちそう様。
凄く美味しかった。」
と、言う流に
「それは、良かったです。
では、出発致しますね。」
と、言いながら
川中さんと雑談をする。

ベラベラ話すわけでもない
川中さんとの会話は
ここち良い。

少しすると河川敷についた。
「流様。少し降りませんか?」
と、言われて
川中さんからドワを開けられ
外へ。

天気も良く
眩しいけれど、ポカポカとして
本当に気持ち良い。

プラプラと川中さんと歩く


「小豆。 
俺、間違ってないよな?
俺さえ我慢したら
流は、嫌な思いもしなくて
危ない事もないよな?
俺は、流に笑っていて欲しい。
あの可愛い笑顔のまま

そばに、いたいよ。
ずっと······そばに。

でも、無理だよな。
世界が違い過ぎる
小豆·····っ」

流は、自然に身体が動いて
一颯の背中に抱きついた。

一颯は、一瞬驚いたが 
小豆が直ぐに反応したから  
問題ないと思ったが
まさか流とは
思っていなかった。

「そばにいてよ!!
そう思うなら、そばにいて!!」
と、流の叫びに

一颯は、向きを変えて
流を抱きしめる。

小豆は、流と一颯の顔を
交互に舐めながら
ワンワンと吠えている。

二人と一匹でしばらくいると

流がハッと
川中を探すが
川中の姿は無く
ラインが来ていて
《 先に戻ります。 》
と。
 
川中は、一颯が小豆の散歩に
此処を通る事を知っていた。
と、言うより

つけて 知っていたのだ。
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