死神キューピッド
「……虹太のことを幽霊扱いして、自分は実体のある人間みたいなことばっかり言ってたけど。……私も幽霊みたいなものだったんだね」


「柚は生きてたんだから、幽霊じゃないだろ?」


「それって、生霊ってこと?」


「まあ、そうなるのかもな」


……生霊。


「やだっ、もっと怖いじゃん!」


「幽霊の俺のことは全然、怖がってなかったくせに。自分のことは怖いって、なんだよそれ」


くすくすと笑う虹太の声に愛おしさがにじんで、耳もとがくすぐったい。


「私、自分がそんなホラーな存在だって知らなかったから、コンビニで普通に買い物しちゃったよ」


「んー、けどさ、柚のこと、見えてる奴にはちゃんと、見えてたと思う。ほら、柚には俺が見えてたみたいに」


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