死神キューピッド
「俺のこと、……怖くなかったの?」


「全っ然、怖くなかったよ。幽霊なのにキラキラしててびっくりした」


「なんだよ、それ」


呆れる虹太に、笑顔を返す。


「今さらだけどさ、私ったら三途の川、わたっちゃったんだね」


「そうそう、あっという間だったよ。お前が死んで、虹がでて。その虹が消えたころにはもう渡り終えてた。俺も一緒に三途の川クルージングしたけど、柚はぐっすり寝てたからな」


「じゃ、虹太が私をこっちに連れてきてくれたの?」


「そんな力は俺にはないよ。俺、ただの平幽霊だし」


「……平幽霊?」


ぷぷっ。


「いいね、それ。平社員みたい。んん? ってことは、私も今は幽霊?」


「俺のほうが先輩だけどな。……って、なんでそんなに嬉しそうなんだよ?」


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