死神キューピッド
「会いたい奴がいて……、そいつに会わせてもらうために、伝言を預かっただけです」


「会いたい奴……?」


「自分が命がけで守った相手が、目を覚まして飛び降りるって、ホントになんなんですかね」


地面に叩きつけるように、その若い男が吐き捨てた。


……目を覚まして、……なんつった?


「おい、ちょっと、あんた……」


「こっちは死んでるんだから、身投げして死ぬとか、勘弁してくれって話ですよ」


男が話している内容が、全く理解できない。


『こっちは死んでる』って言ったよな……。


こいつ、まともな精神状態じゃないのか?


そう考えると、さっきの話だって、どこまで本当だかわからない。


だったら、こんな男のことなんて放置してしまえばいい。


もうすぐ、休憩時間が終わる。


そろそろ戻らないとまずい。


店内にいるのは、店長と新人ふたりだ。


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