死神キューピッド
居心地悪そうに、首の後ろに手を置く虹太。


そんな虹太の姿に、記憶を紡いでいた糸が、バラっとほどけて、からまりはじめる。


あ、あれ?


「あのあと、東王子にすげえ嫌味言われた。けど、まあ、俺も必死だったし」


「ちょ、ちょっと待って」


「だから、柚と付き合うことになったとき、東王子に謝った。『さすがにごめん』って。そしたら、一発、殴られた」


「う、うそ」


「俺さ、柚が思ってるより、結構ズルいって言うか、必死っていうか」


「虹太、ちょっと待って。 だ、だって、その話、おかしいよ。順番っていうか、色々、おかしい」


だって、その話が本当だとすると、虹太は最初から私と……。


ふいっと目をそらした虹太の顔は、ほんのり赤く染まっている。


多分それは窓から差し込む夕日のせいではなくて。


……えっと、どういうこと?


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