モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい


 ユリアンとゲオルグ、ツェザール。そしてカロリーネとベアトリスの五人は、深淵の森の中を順調に進んでいた。

 ときどき魔獣が襲ってくるものの、ユリアンたちが精霊の力を借りながら楽々倒している。

 とくにユリアンの氷の魔法は、狂暴な魔獣をも瞬時に凍らせる威力で圧巻だった。

 ゲオルグとツェザールも、それぞれ得意な土と風の魔法で討伐数を重ねる。

 カロリーネの得意魔法は、戦闘よりも後方支援向きのため、圧勝している今は目立った活躍はなかった。

 唯一の活躍は、蛇形の魔獣に驚き慌てて転んでしまったベアトリスの膝の擦り傷を治癒してくれたときだ。

 その様子はほかの三人にも見られて、あきれられたのは言うまでもない。

 ちなみにピピは森に入ってしばらくは楽しそうに飛び回っていたが、魔獣と遭遇した途端『ぴい!』と大慌てでベアトリスの服の内ポケットに避難して、それ以来じっと丸まって出てこない。怖がりなところはベアトリスとそっくりだ。

 そのようにとくに問題なく訓練を進めていたが、そろそろ折り返し地点に差しかかる頃、ベアトリスはふと違和感を覚えて首をかしげた。

(なんだか見覚えがあるような……)

 前世も含めて深淵の森の奥深くに来るのは初めてだから気のせいだろう。もしくは別の森と似ていると感じているか。

 しかしそう考えても既視感は拭えない。さらに進むに連れて、とても嫌な予感が込み上げてきた。

 今すぐ走って引き返したくなるような不安感。

 ただ魔獣が怖いからというのとは違う気がする。

「ベアトリス? どうしたの?」
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