モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
 あの見るからに穏やかで朗らかな母が激怒する姿は想像出来ないが、それほどひどいことをしたのだろう。

(嫌な記憶すぎて、思い出せないのかも)

 どちらにしても、ベアトリスの信用は底辺だとはっきりした。

 ほかにもいろいろやらかしていそうなので、今後の人付き合いのためにも、後でゆっくり思い出す必要がある。

「お嬢様、そろそろ行きましょう」
「ええ」

 すっかり疲弊したベアトリスは、レオに促されてユリアンが向かった方向に歩き出した。


 召喚式は魔法学院の講堂で行うらしい。

 生徒が儀式を行い、この先一生付き合う守護精霊を獲得する。

「でも一人ひとりやっていたらかなりの時間がかかりそうだわ」
「時間はかかりますが退屈はしませんよ。皆、誰がどんな精霊を召喚するのか興味津々ですからね」

 レオが詳しいのは、彼も五年前にこの学院に通っていたからだ。

「ということは、みんなが見ている前でやるの?」
「そうですよ。緊張しますがお嬢様なら大丈夫でしょう」

 昨日までのベアトリスならその通りだろう。

(でも、今の私には難しいんじゃないかな)

 公爵邸を出る前に試してみたが、魔法が発動しないのだ。もしかして、前世は平民で魔力が無かったことが影響しているのかもしれない

「あの、急に魔法が使えなくなることってあるのかな?」
「そのような事例は聞いたことがありませんが」
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