モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「そ、そうなんだ……」

(そんなすごい精霊、今の私じゃ絶対に呼び出せないと思う)

 その後もあれこれ質問を続けていると、あっという間に講堂に到着した。

 護衛のレオが付き添えるのは入口までだから、ここからはひとりで行かなくてはならない。ベアトリスはかなり心細くなってきた。

「では俺はここで待機しています。お嬢様、ご武運を」
「え、ええ、がんばってきます」

 気合の入ったレオの言葉に、引きつった笑顔でうなずきおそるおそる入口を通る。

(ユリアン王太子も中にいるのよね? あんな恐ろしい目でまた見られたら逃げ出してしまいそう)

 憂鬱になりながらもうひとつの扉を開き進むと、その先には大広間があった。

 左右にはステンドグラスの窓が並び、そこからやわらかな光が差し込んでいる。

 大理石の床は綺麗に磨かれてピカピカだ。広間中央に椅子がたくさん並べてありところどころに生徒が座っているので、今日の儀式に参加する人が座るためのものだろう。

 突きあたりは一段高くなっていて、階段で上るようになっている。想像よりも厳かな雰囲気だ。ベアトリスは周囲を観察しながらゆっくり足を進め、椅子に近づいた。

(どこに座ればいいのかな)

 椅子に名前は書かれていないし、自由席だろうか。

 少し迷ってから一番うしろのなるべく目立たなそうな場所に決めた。
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