モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
 ゲオルグはあきれ顔だ。嫌みっぽい口調なのは、彼とベアトリスが日頃から不仲だからだろう。

「そ、そうでしたね」

(この人も当たりがキツイ! 無駄に関わらないようにしないと) 

 ベアトリスはさりげなく視線を逸らし会話を終わらせて席に着いた。

 ところが「クロイツァー公爵令嬢にしてはずいぶんとおとなしいな。またろくでもないことを企んでるんじゃないだろうな?」と別の人物から名指しで話しかけられてしまった。

 さすがに気づかないふりは続けられず、ベアトリスは声の方に顔を向ける。

 視線の先には赤髪に茶色い瞳]の大男、ツェザール・キルステンがいた。

 彼はゲオルグ同様ユリアンの側近で、近衛騎士団長であるキルステン伯爵の長男。屈強な体つきは騎士にうってつけで、父にならい近衛騎士団に入団予定だ。

 彼もまたベアトリスに嫌悪感を持っているのが、ありありと伝わってくる。頭脳派のゲオルグと違い嫌悪感を隠しもしないので、直接的な危険は大きそうな気がする。

 そう思い「いえ、まさか」と愛想笑いし、刺激しないで会話を終えようとしたが、ツェザールは不審そうに眉を上げてますます距離を詰めてきた。

「いつもみたいに、この無礼者が!って言い返してこないのか?」
「い、いえ……」
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