モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「いわゆる折(せっ)檻(かん)ですよ。貴族の子どもだって失敗をしたら叱られるでしょう。それと同じです。だというのにまさか逃げ出すとは。本当に手間のかかる子です」

「きっとあなたたちのしつけは普通の範囲を超えていたんだわ。子どもが逃げたくなるほどに。なぜ聖女様を支配しようとしたの? 本来神殿は、神木と聖女様を守る役割を担っているのではないの?」

 まるで聖女よりもスラニナ大司教の意向が優先されるとでもいうような言い分だった。

「それは表向きの話です。あなたは知らないだろうが、神殿と国中に広がる教徒を管理支配してきたのはドラーク枢機卿様なのです。聖女はその手助けをするだけ。奇跡を起こしその力こそがドラーク枢機卿様の権威となるのです。ところがレネは指示に従わなかった。しまいには、名もない平民の娘におおいなる祝福を与え無駄に力を使った。眠りについたのはその結果だ。聖女の力は無限ではないのです。だから管理する賢い者が必要なのです」

 スラニナ大司教は自分たちこそが正義だと信じて疑っていない様子。ベアトリスは恐怖を覚えた。

 彼には言葉が通じないと確信した。しかも信じられないくらい残虐だ。罪のない平民の女性を痛めつけて殺せるほどに。
 ロゼの記憶が彼に対する恐怖を煽(あお)る。

「さあ、くだらない話はこれまで。ベアトリス嬢、神木に力を与えてください。時間がありませんよ」
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