モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
作法や積み重ねた知識を忘れてはいないものの、平民であるロゼ・マイネの感覚が強すぎて現状になじめず、家族の食事の席ですら萎縮してしまっている。
(こんな私が公爵令嬢だなんて……)
この先やっていけるのだろうかと心配で堪らない。
テーブルの上の磨き抜かれたグラスに自分の顔が映り込む。
波打つローズピンクの髪に、少し目じりが上がった大きなルビー色の瞳。前世とは正反対の、華やかでいかにもお姫様といった容姿も落ち着かない気持ちになる一因だ。
「トリスどうしたんだ? さっきから様子がおかしいが」
「い、いえ、お兄様。なんでもありません」
ベアトリスは冷や汗をかきながら必死につくり笑いをする。
(お願い、今はこれ以上追及しないで)
せめてもう少し慣れるまで。しかしそんな心の中の叫びは届かず、彼は不審そうにベアトリスを見つめていた。
内面を見透かすようなその眼差(まなざ)しに心臓が落ち着きなく脈打つのを感じながら、頭の中では怪訝な顔をする兄についての情報を整理する。
彼の名前はランベルト・カリス・クロイツァー。公爵家の跡継ぎでベアトリスより五歳年上の二十二歳。現在は王宮に財務大臣政務官として勤めている。
(こんな私が公爵令嬢だなんて……)
この先やっていけるのだろうかと心配で堪らない。
テーブルの上の磨き抜かれたグラスに自分の顔が映り込む。
波打つローズピンクの髪に、少し目じりが上がった大きなルビー色の瞳。前世とは正反対の、華やかでいかにもお姫様といった容姿も落ち着かない気持ちになる一因だ。
「トリスどうしたんだ? さっきから様子がおかしいが」
「い、いえ、お兄様。なんでもありません」
ベアトリスは冷や汗をかきながら必死につくり笑いをする。
(お願い、今はこれ以上追及しないで)
せめてもう少し慣れるまで。しかしそんな心の中の叫びは届かず、彼は不審そうにベアトリスを見つめていた。
内面を見透かすようなその眼差(まなざ)しに心臓が落ち着きなく脈打つのを感じながら、頭の中では怪訝な顔をする兄についての情報を整理する。
彼の名前はランベルト・カリス・クロイツァー。公爵家の跡継ぎでベアトリスより五歳年上の二十二歳。現在は王宮に財務大臣政務官として勤めている。