モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
(しっかりした形を取れない精霊もいるのね。ということは、私のピピは思ったよりもすごい精霊なのかしら)

 とてもしっかりしていて、本物の小鳥と言われても違和感がない姿をしているのだから。

「私がAクラスになったのは忖度されたわけじゃなかったのね」

 実力主義の学院を疑ってしまい申し訳ない気持ちになった。

 ひとりで納得していると、カロリーネが訝しげな表情を浮かべていた。

「あの、クロイツァー公爵令嬢?」
「あ、ごめんなさい。なんでもないです。それよりも、私のことは家名ではなく名前で呼んでもらえませんか?」

 出来ればカロリーネとは仲よくなりたい。この学院で初めてベアトリスを拒絶しなかった人なのだ。

 ぐいぐい積極的に迫るベアトリスに、カロリーネはかなり戸惑っている。

「ですが公爵令嬢の名前を呼ぶのは無礼になります」
「そんなこと言わないでください。同じクラスで隣同士の席なんですから」
「わ、わかりました。ではベアトリス様とお呼びいたします」
「よかった」

 ベアトリスはほっとして笑顔になる。

(ついに友達が出来たわ!)

 つらい学院生活の中で希望の光が見えた気がした。

 浮かれていたベアトリスは、一連の会話をユリアンに聞かれているなど少しも気づくことが出来なかった。
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