モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
昼休み。ベアトリスとカロリーネは裏庭のベンチで弁当を広げていた。
ベアトリスは今日もひとりで食事をするつもりだったが、カロリーネも食堂に行かずひとりでどこかに歩いていく姿を見つけた。思いきって声をかけてみたら、彼女も弁当を持ってきていると言ったため、誘ってみたのだ。
もし迷惑そうだったらすぐに去ろうと思っていたが、カロリーネはむしろ喜んでベアトリスの誘いを受けてくれた。
「ベアトリス様はいつもこちらで食事をしているのですか?」
カロリーネは慣れた手つきで準備をするベアトリスを見て首をかしげる。
「ええ、そうなんです。食堂は人が多くて気を使うので。カロリーネ様はどうされていたんですか?」
「私も外でいただいていました。一緒に過ごす友人もいませんから、食堂でひとりで過ごすよりも外の方が落ち着くんです」
ベアトリスは少し驚いた。
(カロリーネ様に友人がいないなんて意外だわ)
わがまま放題だったベアトリスが敬遠されるのはわかるが、しっかりしていて礼儀正しい彼女がなぜ?
その疑問が顔に出てしまったようだ。
「私の家は男爵家といっても先代までは平民の商人で、祖父が男爵位を与えられたことで貴族になりました。ですから由緒正しい貴族の方からは認められないのでしょう。かといって平民のクラスメイトからは遠慮される中途半端な存在なんです」
「そうなんですか……平民の方が遠慮してしまうのは理解出来ますね」