魔法のいらないシンデレラ
さっき、ろうそくを吹き消す前に、同じように瑠璃に言われてとっさに自分も心の中で呟いた。

「叶う…俺の願いが?」
「ええ、きっと。私の願い事が叶ったんですから」

そう言って満足そうに紅茶を飲む瑠璃に、一生はちょっと意地悪っぽく聞いてみた。

「瑠璃さんは、どんな願い事をしたの?」
「え…それは」

ぽっと顔が赤くなったのが分かる。

「え、なになに?どんな事?」

一生はますます、瑠璃を問い詰める。

「いえ、そんな…申し上げるほどの事では」
「じゃあもったいぶらないで、サラッと教えて、ね?」
「え、そ、それなら、一生さんは何をお願いしたんですか?」
「いやー、俺はいいよ。瑠璃さんの願い事を聞きたい」
「一生さんが教えてくれないなら、私も教えません」

そう言って、また頬を膨らませて拗ねる。
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