悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
4 予想外れの、独占欲!
 ついに私は十五歳になり、学園に入学することになった。

 この魔法学園の制服はとっても可愛い。白いブラウスに赤いリボン、黒のジャンバースカートには赤と金の刺繍が施してあり、その裾はフリルがついている。その上に大きな襟の付いたローブを羽織るのだ。いかにも魔法学園! という装いでワクワクする。

「ようこそ。リディ」
「クリス様」

 お兄様と学園にやってきた私を、クリス様が出迎えてくださった。婚約から約三年。私たちは今のところ良好な関係を築いている……と思う。

 クリス様とお兄様が学園に入学したら、なかなか会えなくなると思っていた。
 だが、その予想はあっさりと崩れた。クリス様は事あるごとに公爵邸にやってきたし、王妃様からは頻繁にお茶会と称して王宮へ招待された。さらには、王宮で妃教育が始まったので、クリス様とはかなり頻繁に顔を合わせてきた。

 変わったことといえば、鍛錬にクリス様も混ざるようになったことだ。学園のない日は必ず我が家に来て一緒に剣術の稽古をしたり魔術の修行に加わってくる。
 そして、いつの間にか私よりも力をつけ、剣術も魔法も敵わないほどの使い手になってしまった。攻略対象者のチートなのか、ものすごいスピードでめちゃくちゃ強くなっていて悔しい。

 ちなみにアラン様には全くお会いしていない。アラン様に会うのを、クリス様が徹底的に阻止しているらしく、推しのご活躍を見学したいのに、全く会えない。お父様は完全に買収されているのか、聖騎士団のことなのに全く教えてもらえなかった。

 同じ学園にいれば、さすがにヒロインとの恋路を見学できるかしら。

「制服、よく似合っている」
「まぁ! そうですか? 嬉しいです」

 気に入っている制服を似合うと言われて嬉しくなる。クリス様は、何を着ても様になるが、制服姿ももちろんかっこいい。
 男子は紺のブレザーにネクタイ、そして女子によく似た、襟が小さいローブを羽織っている。その長めのローブが、背が伸びてスチル通りになられたクリス様によく似合うのだ! これぞリアル王子様! 三次元万歳!

「馬子にも衣装だな」
「お兄様何かおっしゃった?」
「別に」

 お兄様は意地悪に育ってしまった。だが、チャラ男にはなっていない! ただ、聖石のせいで沢山のご令嬢にアタックされすぎて、少し女性不信になってしまった。その反動なのか、ちょっと妹に意地悪が多い。
 魔王のことが済んで生き残れたら、可愛らしい令嬢をお兄様に見つけてあげて、意地悪の仕返しもして差し上げますからね!

「さぁ、入学式に行こうか」
「クリス様がご挨拶してくださるのですよね?」
「あぁ。リディも新入生代表だろう?」
「えぇ。少し緊張いたします」
「リディなら大丈夫だよ」
「リディ、緊張してるといつも以上に顔が怖いぞ」
「お兄様! うるさい!」

 いよいよ、ゲームのオープニングが始まる。
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