敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「ねぇアニータ、わざわざ新調しなくても殿下があらかじめ揃えてくれていたドレスで十分だったのに。なんだか、もったいないと思わない?」
 実は、私は急遽今夜の舞踏会に出席することになった。
 これを聞かされたのは一昨日の朝で、その日の午前中のうちに殿下が手配した仕立て屋に引き合わされた。いちから仕立てる時間はないから既製品に手を加えるということだったが、一昨日の仮合わせで袖を通したブルーのドレスはひと目で上等とわかる品だった。
「もったいないだなんて、とんでもない。今夜の舞踏会は王家主催で規模も大きいのです。そこに夫妻で出席となれば、やはりお召し物はおふたり同じ意匠で揃えるのが望ましいですわ」
「そういうものかしら」
 アニータに伴われて衣装室に向かいながら首を捻る。
「もちろん絶対に夫婦で揃えなければ駄目というわけではありませんが。どちらにせよ有り物のドレスなんて殿下が許しませんよ。エミリア様の出席が決まった後、それはもう張りきっておりましたもの」
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