敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「そうかもしれないけど……。そもそも、私が殿下と『夫妻』として出席してしまっていいのか不安だわ」
「たしかに法的にはおふたりの婚姻はまだ成立していませんが、エミリア様の輿入れは既に国中に周知されています。ほとんど夫婦も同然ですわ」
 アニータは、婚姻の儀を前に夫婦として扱われることに、私が戸惑っていると思ったようだ。
「ううん、不安なのはそこじゃなくて……。側妃という立場は一応殿下と夫婦と言えなくもないけど、私は敗戦国からやって来た王女だわ。正妃様が不在の状況とはいえ、私なんかが表舞台に出ては後々差し障りが──」
「なにをおしゃいますか! エミリア様は国家間の盟約により、正式に嫁いでこられたお妃様です。そのお立場は国が認めているのです。もしエミリア様の出自を理由に口さがなく言う者がいたら許しませんわ」
「アニータ……」
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