敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「素質うんぬんだけでは、大陸で最大の国力を持つ我がガルニア王国の王妃はままなりません。後ろ盾のない王妃が貴族領主たちに侮られれば、王家の求心力が弱まり、ひいては国力の低下をも招きます。王家が近隣諸国に軽んじられたら大陸における我が国の立場が弱くなり、国家存続の危機にすらなり得ましょう」
 エミリアの出自を理由に正妃就任を強固に反対するのが、この場で唯一の平民出身で貴族位を持たぬトルドーだという皮肉。
「其方が言っているのは、すべて可能性の話だ」
「悪しき可能性の芽は、できるだけ摘み取っておく。それが我ら臣下の責と心得ております」
 身分に捉われない重用制度は、俺が主導して推し進めた。そうして重用した我が国初の平民出の大臣が、まさかエミリアを正妃にする最大の障壁となろうとは……。
 とはいえ、トルドーの弁は真に国のためを思ってのもので、この場でもっとも忠に篤い臣と言えるだろう。実際、常の議会では彼の的確で公正な意見に助けられてもいる。
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