敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「いったん休憩といたしましょう。二十分後に再開します」
 進行役を担っていたハウイットが長引く朝議の中断を告げた。朝議に参加していた面々が思い思いに動きだす。
 俺も議場を後にし、僅かな時間ではあるがハウイットと連れ立って政務室に戻った。
「ジーク様、トルドーの強固な反対もあり過半数の承認は厳しいやもしれません。十日後の婚姻の儀ではエミリア様をひとまず側妃としてお迎えし、いずれ時期を見て正妃に昇格させてはいかがですか?」
 政務室の扉を閉め、ハウイットの開口一番。
 俺は射るような目でハウイットを睨みつけた。
「……いずれだと? 男児を生んだらその時にでも、正妃に引き立てろと言いたいのか?」
 過去には身分の低かった側妃が王位継承者となる男児を出産した功を認められ、正妃に格上げされた例がある。だが、俺はそんな悠長で不確かな過去の事例をなぞらえるつもりなど毛頭なかった。
「最終手段ではありますが、正妃の座が空位のままその状況となれば可能かと」
< 138 / 265 >

この作品をシェア

pagetop