敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
《わぁあ!? やっぱり痛いの? 泣かないで!》
 目尻で珠を結んだ涙に気づき、精霊たちが慌てだす。
 私は七歳の時、悪戯心から精霊のみんなに無理な【お願い】をし、結果的に王宮の一角を爆風で吹き飛ばしてしまった。不幸にもこの時壊れたのは継母たちが暮らす一角で、以来私は『呪われた王女』と継母から目の敵にされるようになった。そうして七年前に父が亡くなってからは、現在の軟禁まがいの生活に追いやられているわけだが。
 当時の一件に、どうやら精霊たちは今も罪悪感を抱いているらしい。けっして彼らが悪いわけではないのに私の境遇を心配し、こうして毎日のように顔を出しては手厚く世話を焼いてくれるのだ。
「ううん、違うの。これは痛いからじゃないの。みんながいてくれて幸せだなぁって思ったら、なんだか胸が詰まっちゃって。みんな、いつもありがとうね」
 涙を拭いながら微笑めば、精霊のみんなも表情を和らげた。
《なんですか、急に。私たちは望んであなたの側にいるのですから礼なんていりませんよ。さぁ、座ってください》
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