敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「エミリア。公表するしないに関わらず、君が聖女というのは揺るぎない事実だ。聖女のルーツについて君に知らせたいことがある」
「え?」
 正直、今日はいろいろありすぎて、既に頭がパンクしそうだ。
 まさか、聖女うんぬんについてこれからさらに聞かされるの!?
 ギョッとして見上げる私の様子に気づいていないのか、殿下は真剣な表情で口を開いた。
「禁書の存在について伝えただろう。実は、我が国の建国については、一般に出回っている歴史書に記されている史実とは少し違う成り立ちをしているんだ。聖女である君にも関わることで──」
「待ってください! さすがに今日はもう頭がいっぱいで……っ、後日に改めていただくわけにはいきませんか?」
 申し訳ないとは思いつつ、待ったをかけさせてもらった。
 殿下の話が重要そうなのはわかる。だからこそ、これ以上聞いても理解が追いつきそうにない。
「……すまん。疲れているこのタイミングで伝えるべきではなかったな」
「私こそ無作法な真似をして、すみません」
「いや。今日はゆっくり休んでくれ。この話はまた改める、おやすみ」
「おやすみなさい」
 殿下は私の頭をそっとひと撫でし、部屋を出ていった。
 入れ替わるようにやって来たアニータに身支度を手伝ってもらい軽食を摘まむと、この日は早々に眠りについた。
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