敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「そもそも、アドランス王国が仕掛けてきた侵略戦争を騎士団を率いて制し、戦後交渉の指揮を取ったのはこの俺だ。併合と今後の統治のための手筈も完璧に整えていた。アドランス王国にとっても決して悪い条件ではなかったはず。それがどうして俺が不在の間に婚姻などという話になった」
 我が国では古くから弓術が盛んで、俺自身も精通していた。騎士団を指揮する傍ら、俺が騎射でアドランス王国軍の総大将を射止め迅速に終戦、そして戦後会談へと持ち込んだのだ。
「どうやら我らの不在中、女王が再三に渡って婚姻の申し入れをしてきたようです。アドランス王国としては、婚姻という手段で少しでも宗主国との繋がりを強固にしておきたかったのでしょう」
 政略結婚というのは古来より国家間の和睦のためにたびたび用いられてきた手段だ。父や大臣らは良かれと思ったのだろう。とはいえ、愚国の王女を俺の正妃に据える決断はできず、それで取った苦肉の策が側妃としての輿入れ許可か。
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