敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 聞かされたハウイットに驚いた様子はまるでない。……やはり、この男は大した玉だ。
「たしかに人の理を超えた災厄に建国の神々の思惑まで絡んだとなれば、史実として残すには差し障りがありますね。時に、ジーク様が用いようとされているモーリス王の遺品とはどのような道具なのですか? その存在は記録に残されていますが、こちらも内容は秘されておりましたよね」
 精霊たちが与えたのは聖なる力が宿った聖具――クロスボウのような形状の武器であったと記されている。
 もともとモーリスはエーテル山で猟師を生業としていた男で、弓の扱いに長けていた。彼は授かった聖具を携えて山頂に登り、巧みに火球を捉え次々に矢を放った。ひとたび矢を放てば、聖なる力が宿る矢は驚異的な飛距離を出し、幾千もの火球を木っ端微塵に打ち砕いたという。
「俺も実際に見たことはないが、クロスボウのようなものらしい」
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