敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「《そなたは我らがいとし子、エミリアの助けを得て禍を退けた。そなたの功を労い、ひとつ望みを叶えよう。王太子ジークフリード、そなたは我らになにを望む》」
 サラマンダーの声が、朗々と響き渡る。
 殿下は低くしていた頭をスッと上げ、サラマンダーの目を真っ直ぐに見ながら告げる。
「貴殿らのいとし子、エミリアを私の正妃に賜りたく」
 えっ? ……今、殿下はなんて?
「《よかろう。エミリアをそなたに遣わそう。生涯慈めよ》」
「ありがたき幸せ。必ず、生涯大切に愛おしみます」
 殿下は流れるような礼で答え、サラマンダーはそれに仰々しく頷いてみせた。
 岩のように固まる私を置き去りに、大地が揺れるような拍手喝采と黄色い悲鳴が響き渡るのだった。
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