敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 殿下は一瞬ギョッとしたようだったが、怯むことなく部屋に入ってきて、クッションをひとつ手に既に出来上がっている輪の中に加わった。
 しかも殿下は、あまりスペースの空いていない私の左隣にやや強引にクッションを敷き、場所を確保していた。若干、割り込みに近いような席取りだったが、隣に入られた恰好のノーム爺は苦笑しただけだった。
 私も、自分の場所に腰を下ろした。
 精霊たちは殿下の参加を特に気にしたふうもなく、そのまま会話が続く。
「《僕はね、エミリアに危ない目にあってほしくないし、危険に近づかなくて済むなら断然その方がいいって思ってる。でもね、君が望めば、すべて叶える。極論を言えば、火球を全部打ち砕けって願われたらそうしたよ》」
「えぇええっ、なにそれっ!? 教えてくれたらよかったのに!」
 向かいに座っていたシルフにあっけらかんと言われ、思わず素っ頓狂に叫んだ。
 ……だって、そうと知っていたら殿下にあんな苦労をさせることはなかったのに。
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