敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 子猫が俺の腕の中で「これでいい?」とばかりに小首をかしげてみせる。その可愛さたるや凄まじい。
「もう一度だ」
「? ジーク様」
 高鳴る鼓動を抑えつつ強請ってみれば、再び彼女の唇が甘やかに俺の名前を紡いだ。愛しい想いのまま、エミリアをかき抱くように胸に閉じ込めた。
「んっ、殿下……じゃなかった、ジーク様。苦しいですよ……?」
「聞こえんな」
 溢れるほどの幸福感に包まれて、春の宵は更けていった。
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