敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 ……気むずかしい、か? はたまた、気が強い? 滲んだ部分に当てはまりそうな単語をいくつも思い浮かべるが、所詮は答えの出ない虚しい一人相撲。
 伝書鷹は憤る俺を尻目に、役目は済んだとばかりに鷹匠のもとへと飛び去っていった。
 窓を閉め政務机に戻ってみたものの、注意力は散漫で一向に政務が手につかない。腹立たしいことに要領を得ない手紙を受け取ったことで、王女の人となりが余計に気になって仕方がなくなる始末だった。
 クソッ! しばらくは騙し騙し政務と格闘したものの、日暮れを前についに痺れを切らした。
「こうなったら俺が直接悪女の顔を見に行ってくれる!」
 かくなる上は、自分の目で確かめなければ。もう居ても立ってもいられなかった。
 かつて覚えたことのない強い衝動に衝き動かされ、政務室を出て近衛宿舎に走った。そうして正体がバレないように鎧一式を着込むと、輿入れ行列に合流すべく単騎で城を飛び出した。
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